昨日と同様、ハルヒが結成し、未だに方向性が定まらない謎の集まりが終わってから、ひっそりと再集合した。
「長門。解析とやらはできたか?」
「……」
 少しだけ止まってから長門は答えた。何かひっかかることでもあるのか?
「できた。しかし、解析不良の部分がある」
「解析不良?」
「今回の現象は涼宮ハルヒが発端。しかし、涼宮ハルヒが望んだことではない」
 ……すまん、理解できるようで、さっぱり分からん。
「おそらく、なんだけど」
 長門の隣に座っていた朝倉が代わって言葉を続ける。
「今まで涼宮さんはいろんな現象を引き起こしてきたでしょう?」
 その度に俺達が死ぬ死なないの境界を潜り抜けてきたな。
「最終的にいろんな方法でそのひずみを修正して、元の状態に戻すのだけど――」
「情報の再構成というものですね」
「そう。でも情報の再構成を正確に、不純情報を残さずに行うのは難しいの。だからもしかすると、幾度に重なる連結や結合を繰り返したひずみが積み重なって、今回の現象は起こったんじゃないかって」
 つまり、ハルヒの暴挙が今、仇となってこんなことが起こっているってことか。それを考えただけで頭痛がしてくる。
「推測の域を出ない。でも、それが最も妥当」
 とりあえず、あのよく分からん閉鎖空間を発生させるような敵と戦う心配なんかは、今回の話に限ればなくて済みそうだ、ということか。
「そう」
 少しだけ安心だ。また命のやり取りでもしなきゃならんのかと心配してたからな。
 っと、そういえば。そういえば、谷口が変なことを言っていたんだった。
「なあ。今朝も一度、あの人間瞬間移動が起こったんだ。ちなみに移動したのは俺じゃなくて谷口だ。それで谷口が消えた後、あいつがトイレから出てきた。ここまではまあいいんだが、その後にだな、「トイレに行くと俺に言った」なんてほざきやがったんだ。んなことあいつは一言も口にしてないはずだったんだが、これもハルヒの仕業なのか?」
 長門は一度だけ首を上下に動かした。
「涼宮ハルヒと強い関連を持たない人間は空間移動時、環境情報と本人および他人の脳内情報を適正値の環境情報へと強制書き換えられる。関連が強ければ強いほど、その情報改ざんの効果が薄い」
 えー、つまりだな。勝手に脳内をいじくられて変な記憶を植えつけられ、その上周りで見てるやつの脳内もちょいちょいっといじくられておかしいと思わないようにするってことか? 道理で、周りから「突然友達が消えた」なんてことを言い出す奴が出てこないと思った。そんなからくりになっていた訳か。
 問いにまた首を縦に振る長門。それを見て俺は首を横に振る。どこまでぶっ飛んだことをしやがるんだ、あいつは。
「みたいだね。あたしの方で分かったのは、空間が別の空間と接合されるには条件があって、まず発動条件は扉を開いた時であるのが最初の条件っさ」
 鶴屋さんが小さなメモ用紙を見ながら説明してくれる。別方面から解析とやらをしてくれたんだろう。
「それと元の空間から別空間へ足を踏み入れた瞬間に完全に移送が完了するようだよ。つまり、別空間に行きたくなければ扉をもう一度閉めるといいみたいだね。元の空間同士の接合が行われるようだから。あ、もちろん他の人からは通常の空間にしか見えてないからね」
 つまり別の空間と繋がりそうになったら扉を閉めなおせばいいってことか。今度試してみるとしよう。
 ……まあ試さなくて済む方がありがたいが。
「まあ情報のロールバックはあの眼鏡がキーになっているらしいってことは変わってないみたいだから、結局あれを探す必要があるのは変わらないわね」
 全く、どこに行ったのやら。