さて、冬休みもおわり通常の授業が開始。
発足後いろいろやってきたSON組、といっても毎日遊び続けたと言う方が正しいだろう、であったが、ここで一つ問題が持ち上がった。
何のことはない、SOS団と同様に団体発足の申請をしなくてはならないという話である。
SOS団からSON組になったからといって、空き教室を勝手に使い、勝手に同好会を作っていいという規定はもちろん存在しない。生徒会の承認を受けなくてはいけないわけだ。
ちなみに前回は「生徒社会を応援する世界造りのための奉仕団体」だったから、今回は「生徒社会の大いなる発展を願う組合」と改名でもして書くつもりではあるが、SOS団発足の申請を却下されたことから、おそらく無理だろうな。
まあ、そうだろうよ。俺が生徒会長でもそんなうさんくさい団体は即却下だ。
こういうことを前回やっているだけに、今回はまた気が重いわけだ。通りっこないだろう、この書類もな。
「そこをなんとかしなさいよ」
無茶を言うな。俺にそんな権限はない。
「っていうかSOS団もSON組も別に奉仕活動するために作ったわけじゃないわ。宇宙人あるいは未来人、超能力者、異世界人などをみつけて仲良くなるためのものよ」
だーかーらー、それじゃ申請したとしても即却下なんだよ。
「そうですね…このままだとSON組はすぐに潰れてしまいますよね」
個人的には潰れてもいいんですが、ハルヒが何をしでかすか分かりませんからね…。
「とりあえず、何か別の顔のSON組として実績が必要だな」
「実績って何?チュパカブラとかツチノコとか見つけてくるとか?」
そんな実績はいらん。というか、そんなものを見つけてきてみろ、いっぺんに世界中がパニックになるぞ。お前はいいかもしれないが、俺は勘弁だ。もしやるなら俺が居ないときにやってくれ。
一応メインでやることとして、地域の奉仕活動に参加、
「面倒」
一言で、1秒で却下しやがった。
「もっとラクなのないの?」
あったらとっくにやってる。
正直さっそく手詰まりか、と思いかけていた最中、きっかけを与えたのは驚くなかれ、あの長門有希であった。
「植樹」
長門が本から顔を上げるのをみんなが注目し、その後にもう一度言った。
「植樹」
植樹って、あの記念に植える木のことか?
「そう」
「有希、植樹なんか簡単にできるものじゃないでしょ。それに、大した意味ないじゃない」
いや、そうとも言えないぞ。卒業生が学校に植えていったりするし、悪い案ではないと思う。
ただし、お前が言った通り、実際に植えるとなるとかなり骨が折れるのが問題だ。植樹する木を見つけてこなきゃいけないのもあるし、それを運んで埋めるには労力も時間もお金もかかる。
「大きな木を購入せず、小さな苗木を買えばいい。それなら手間もお金も少なくて済む。また良く知られた木ではなく、あまり大勢が知らない木を植えることによって、他の生徒に植物に興味を持たせるという意味合いも持たせることが出来る」
それならどうにかなりそうだ。
「そうですね。小さな苗木ならホームセンターなどにも売っていたりしますし。まあ、特別な木というよりはよく知られている木の方が多い気がしますが」
「あまり特殊すぎるものでなくていい。名前だけ知っている木や、見かけたことのある木でも十分。それに、口実に使えるというだけの話だから、珍しい木でなくても構わない」
「有希、あんた結構喋るときは喋るのね。まあそれはいいとして、確かにそれならイベントとかで集まったお金で結構どうにかできるわよね。よし!」
ハルヒが立ち上がった。
「木を買いに行くわよ!」
思い立ったが吉日、を地で行くハルヒ。ホント、この行動力の源はどこなんだろうな。
ホームセンターでの買い物の風景は割愛する。まあ、分かるだろ?
近くにはなかったために、電車に揺られて数十分。大型のホームセンターに到着した、というまでは良かった。
ハルヒがどんどん進んであっちこっち探し回るせいで、そっちについていったら、いつのまにか朝比奈さんが迷子になるし、実希が居なくなったなと思ったらペットが売っている場所で遊んでいるし。
正直、SON組はもうちょっとチームワークという言葉を覚えるべきである。あと、思いやりな。
いろいろあったが苗木を人数分、つまり8本買ってきた。ハルヒ曰く、それぞれ1本ずつ埋めて、その成長を見守るとか。
しかし、この後一つ問題が浮上する。そう、いくら寄贈するとはいえ、勝手に埋めるわけにはいかないということである。このままじゃせっかく買った苗木も枯れるのを待つだけだ。
そこでどうしたかというと。こういうときだけ無駄にチームワークがいいんだよな、ハルヒと朝倉が校長にわざわざ話をつけに行き、実際その場に居たわけじゃないから何をしたか分からないが、許可を得てきた。
もしハルヒだけなら、違う意味で教師に目をつけられているだろうし、周りの教師が止めに入ったかもしれないが、品行方正な朝倉が一緒であった上、学校のためになることだからと言い張ったに違いない、結局ほとんど反対も受けずに許可されたらしい。
かくして、「SON組寄贈」という立て札と共に学校の片隅で少しずつ育っていく苗木たちを見守りながら、SON組も成長していくわけである。俺たちが卒業する頃、どれくらいの大きさに成長するか楽しみだな。
…はて、何のために木を植えたのだったかな。まあ、いいか。